業務委託の請求書の書き方

公開: 2026年9月2日

業務委託で報酬を受け取るとき、請求書の様式に法令上の決まりはありません。ただし 「入っていないと相手が処理できない項目」は決まっています。何を書けばよいのかを、 実際に請求書を組み立てる順番にそって整理しました。

請求書に決まった様式はない

請求書は、ExcelでもWordでも手書きでも構いません。特定のテンプレートを使う義務も、 押印する義務もありません。取引先が指定する様式がある場合はそれに従いますが、 指定がなければ自分で作った形式で問題ありません。

一方で、書いていないと取引先の経理が処理できない項目があります。差し戻されると 入金が翌月にずれることもあるので、最初から入れておくほうが結果的に早く終わります。

必ず入れる項目

  1. 宛名。取引先の正式名称を書きます。「株式会社」を「(株)」と略さないほうが 無難です。会社宛なら「御中」、担当者個人宛なら「様」を使います。
  2. 自分の氏名・屋号と連絡先。誰からの請求かが分かるようにします。 住所・電話番号・メールアドレスまで入れておくと、問い合わせが来たときに相手が困りません。
  3. 発行日。取引先の締め日に合わせるのが基本です。月末締めなら月末の日付にします。
  4. 請求書番号。法令上の義務はありませんが、あとから特定するために付けておきます。 付け方は 請求書番号の付け方のルール にまとめました。
  5. 取引年月日。いつ提供した役務に対する請求かを示します。継続案件なら 「2026年7月分」のような書き方で構いません。
  6. 取引内容。何に対する報酬かを書きます。「業務委託料 一式」だけだと 相手が費目を判断できないことがあるので、案件名や作業内容を具体的に書くほうが親切です。
  7. 金額(税率ごとの小計・消費税額・合計)。詳しくは次の項で説明します。
  8. 振込先。金融機関名・支店名・預金種別・口座番号・口座名義。名義は 通帳どおりのカタカナで書きます。ここが1文字違うだけで振込が失敗します。
  9. 支払期日。契約で決めた条件をそのまま書きます。「翌月末日」など。

金額の書き方

金額欄は、明細・小計・消費税・合計の順に並べます。明細は1行ずつ、単価と数量が分かる形にすると、 相手が検算できます。

金額欄の並び
明細
  Webサイト運用保守 (時間単価5,000円, 10.0時間)   50,000
  管理画面の改修 要件定義 (時間単価5,000円, 20.0時間)  100,000

小計                    150,000
10%消費税                15,000
合計金額                165,000

消費税は分けて書く

税率ごとに区分した金額と、その税率に対する消費税額を分けて書きます。10%と8%が混ざる場合は、 それぞれの小計と消費税額を別の行にします。ほとんどの業務委託は10%だけで済みます。

端数はどうするか

消費税の端数処理(切り捨て・切り上げ・四捨五入)に決まりはなく、事業者が選べます。 ただし毎月同じ方法にそろえることが大事です。月によって処理が変わると、 取引先の帳簿と数円ずれて、その確認作業がお互いの手間になります。

登録番号を書く場合

適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、登録番号(T+13桁)を記載します。 適格請求書として扱われるために必要とされている記載事項は、次のとおりです。

  • 発行事業者の氏名または名称と、登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額と、適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 交付を受ける事業者の氏名または名称

請求書番号はこの中に含まれていません。実務上の管理のために付けるものです。

登録が必要かどうか、登録した場合の税額計算、経過措置の扱いなどは、取引先との関係や ご自身の売上規模によって判断が変わります。制度上の適否については、税理士または所轄の 税務署にご確認ください。この記事は請求書の書き方を整理したもので、税務上の助言ではありません。

源泉徴収がある場合

原稿料、デザイン料、講演料など、所得税法で定められた種類の報酬を法人などから受け取る場合、 支払者が所得税を源泉徴収します。この場合は合計金額の下に源泉徴収税額の行を設け、 差し引いた金額を「差引請求額」として示すのが一般的です。

対象になるかどうかは報酬の種類によって異なり、たとえばプログラムの作成は 対象として列挙されていないことが多い一方、デザインや原稿の作成は対象になります。 判断に迷う場合は、支払者側の経理か税理士に確認してください。

送る前に確認すること

  • 宛名の会社名が正確か。前月のファイルを流用すると、社名変更に気づかないことがあります。
  • 合計金額が契約どおりか。単価×数量の検算をします。
  • 振込先の口座名義。カタカナの表記ゆれ、旧姓のままになっていないか。
  • ファイル名。「請求書.pdf」だと相手のフォルダで埋もれます。 「請求書_屋号_2026年7月分.pdf」のように、送り先が保存しやすい名前にします。
  • 提出期限。締め日を過ぎると翌月の支払いにまわります。

よくある間違い

「業務委託料 一式」とだけ書いてはいけませんか
禁止されているわけではありませんが、取引先の経理が何の費用として処理すべきか判断できず、問い合わせが来ることがあります。案件名や作業内容を1行加えるだけで、やり取りが減ります。
押印は必要ですか
請求書に押印の義務はありません。取引先が社内規程で求める場合のみ対応すれば足ります。
PDFとExcelのどちらで送るべきですか
受け取った側が編集できないPDFが無難です。Excelのまま送ると、相手の環境で表示が崩れたり、数式が壊れたりすることがあります。
毎月ほぼ同じ内容ですが、毎回作り直す必要がありますか
前月の請求書を複製して、日付・請求書番号・数量だけを直す運用で問題ありません。ただし複製元を間違えると先月分と同じ内容を二重に請求してしまうため、対象月の記載は必ず確認してください。

請求書を出し忘れてしまった場合の進め方は 請求書を送り忘れたときの対処法 にまとめています。

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