請求書を送り忘れたときの対処法
公開: 2026年9月2日
請求書を出し忘れたことに気づいた瞬間は、かなり気まずいものです。ただ、取引先にとっては 「よくあること」の範囲に収まる場合がほとんどで、対応の手順もだいたい決まっています。 気づいた時点から何をどの順番で進めればよいかを、順に整理しました。
まず確認する3つのこと
取引先へ連絡する前に、手元で確認しておくと話が早く済みます。連絡してから調べ直すと、 やり取りが増えてお互いの手間になります。
- 取引先の締め日。月末締めなのか、20日締めなのか。締め日を過ぎていると、 その月の支払いには間に合わず、翌月の支払いにまわることが多くなります。
- 支払いサイクル。「翌月末払い」「翌々月10日払い」など、契約時に決めた条件です。 いつ入金される見込みかを自分で把握してから連絡します。
- 何か月ぶんを忘れているか。1か月ぶんなのか、複数月ぶんなのかで、 請求書を分けるか1枚にまとめるかの相談内容が変わります。
取引先へ連絡する
いきなり請求書だけを送りつけず、先に一報を入れます。取引先の経理は月ごとに締めた金額をもとに 処理を進めているので、予定になかった請求書が突然届くと、受け取った側で処理の判断がつきません。
連絡は早いほど選択肢が残ります。締め日の直後であればその月に入れてもらえることもありますし、 間に合わなくても翌月の処理に組み込む段取りが取りやすくなります。
件名: 〇月分の請求書送付について(お詫び) 株式会社〇〇 〇〇様 いつもお世話になっております。〇〇です。 〇月分の請求書につきまして、こちらの手違いにより お送りできておりませんでした。誠に申し訳ございません。 本日、〇月分の請求書を添付にてお送りいたします。 金額は〇〇円(税込)です。 貴社の締め処理の都合もあるかと存じますので、 今回分をいつのお支払いに含めていただけるか、 ご都合をお聞かせいただけますと幸いです。 今後このようなことがないよう、請求の管理方法を見直します。 ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。 〇〇
長く謝り続ける必要はありません。いつのぶんか、いくらか、いつの支払いに含めてほしいかの3点が伝わることのほうが、相手の処理には役立ちます。
発行日をいつにするか
迷いやすいのがここです。本来の請求月の日付(たとえば7月分なら7月31日)にするか、 実際に送る日の日付にするかの2通りがあります。
- 本来の月の日付にする。取引先が「7月分の費用」として処理したい場合はこちら。 ただし相手の会計期間が既に締まっていると、受け取れないことがあります。
- 送る日の日付にする。取引先が「今月受け取った請求」として処理する場合はこちら。 摘要欄や明細に「7月分」と明記しておくと、何の対価かが伝わります。
どちらが正しいという一般解はなく、取引先の会計処理の都合で決まります。 自分で判断せず、前項の連絡のときに合わせて確認するのが確実です。「発行日は貴社のご都合に 合わせます」と添えておくと、相手も答えやすくなります。
支払期日の決め方
支払期日は、契約で決めた支払いサイクルをそのまま当てはめます。送り忘れたからといって、 こちらの都合で早めることはできません。
たとえば「月末締め・翌月末払い」の契約で、7月分を9月に送ることになった場合、 先方が8月分と同じ扱いにしてくれるのか、9月分としてまとめるのかで入金月が変わります。 ここも自分で決めず、確認した結果を請求書に反映させます。
消費税や源泉徴収の扱いは変わらない
送るのが遅れても、その請求の内容自体は変わりません。消費税の税率も、源泉徴収の有無も、 本来請求すべきだった時点の条件がそのまま適用されます。遅れたぶんを割り引いたり、 逆に上乗せしたりする必要もありません。
何か月も前のぶんを忘れていた場合
数か月ぶんまとめて忘れていた、というのも珍しくありません。この場合も基本の流れは同じですが、 いくつか追加で考えることがあります。
請求書を分けるか、まとめるか
月ごとに1枚ずつ作るほうが、取引先の処理には親切です。何月分がいくらかが一目で分かり、 相手の帳簿とも突き合わせやすくなります。1枚にまとめてほしいと言われた場合だけ、 明細行を月ごとに分けて1枚にします。
いつまで請求できるか
報酬を請求する権利には期限があります。2020年4月1日に施行された改正後の民法では、 債権は「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」の いずれか早いほうで時効にかかるとされています。通常の業務委託の報酬であれば、 支払期日から5年が目安になります。
つまり数か月の遅れであれば、請求できる権利そのものは通常残っています。ただし、 時間が経つほど取引先の担当者が代わっていたり、当時の作業内容の記録が双方から失われたりして、 実務上は話がつきにくくなります。気づいた時点で早く動くに越したことはありません。
送り忘れは、なぜ起きるのか
請求の送り忘れは、うっかりしていた人だけに起きるわけではありません。構造的に起きやすい条件が いくつかあります。
- 毎月やることなのに、締切が自分の外にある。納品物と違って、取引先から 「請求書はまだですか」と催促されることは多くありません。忘れても誰も気づかない仕組みになっています。
- 内容がほぼ同じなので、記憶に残りにくい。毎月同じ金額・同じ内容だと、 先月出したのか今月出したのかが曖昧になります。
- 本業が忙しい時期と重なる。月末は納品も重なりがちで、請求は後回しになります。
- ファイルを探すところから始まる。前月のファイルを開いて日付と金額を書き換える 運用だと、着手までの心理的な負担が大きく、先延ばしになりやすくなります。
裏を返すと、「請求日に気づける仕組み」と「着手のハードルを下げる仕組み」の2つがあれば、送り忘れはかなり防げます。カレンダーに繰り返しの予定を入れておくだけでも、 何もしないよりは効果があります。前月の請求書をテンプレートとして保存しておき、 コピーして日付だけ直す運用にしておくのも有効です。
よくある質問
- 送り忘れた請求書に、お詫びの一文を入れるべきですか
- 請求書自体は事務的な書類なので、備考欄に「〇月分」と対象月を明記すれば十分です。お詫びは送付時のメールに書けば足ります。
- 取引先から「もう締めたので受け取れない」と言われました
- 翌月以降の処理に含めてもらえるかを相談します。請求できる権利がなくなるわけではないので、いつの支払いに乗せられるかを確認するのが現実的です。
- 請求書番号は、忘れていた月のぶんを間に挟むべきですか
- 番号の付け方に決まった法令上のルールはなく、事業者が一貫した方法で管理していれば問題ありません。あとから番号を挿入すると連番が崩れるため、実際に発行した順に採番するほうが管理は簡単です。
- 複数月をまとめて請求すると、税額の計算は変わりますか
- 月ごとに計算した金額を合算する形になります。端数処理の方法によって数円の差が出ることがあるため、まとめる場合は明細を月ごとに分けておくと、取引先とも突き合わせやすくなります。具体的な税額の判断は税理士にご確認ください。
毎月の請求の進め方そのものについては、使い方のページでも紹介しています。